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特集 9

ゲストハウス〈cue〉オーナー夫婦の手づくりマップで、城下町・竹田の夜に溶け込む

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竹田の夜を楽しむには「あの人に会いに行って」

大分県竹田市の城下町にある、築80年を越える古民家をリノベーションしたゲストハウス〈たけた駅前ホステルcue(キュー)〉。

堀場貴雄さんとさくらさんご夫婦が運営するこちらのゲストハウスには、県外だけでなく海外からの旅行客も多く訪れます。

南に阿蘇五岳、北にくじゅう連山を望み、旧岡藩の歴史が色濃く残った情緒溢れる竹田のまち。そんな竹田の城下町で、ミッドナイトまで楽しめるスポットをご紹介します。

古民家リノベのゲストハウス〈たけた駅前ホステルcue〉。

レトロな風情のJR豊後竹田駅を降りると、まず目に飛び込んでくるのはライトアップされた岩壁。岩上から細く落ちる落門の滝を横目に竹田橋を渡り、1分ほど歩いた先にcueはあります。

大分県外から移住した堀場夫妻は、竹田市の地域おこし協力隊として赴任し、任期中の2017年4月にcueを開業。「ふたりとも旅好きという共通点もあってゲストハウスをやることは決めていました」と堀場さんは当時を振り返ります。

一期一会の旅人に竹田の城下町を楽しんでもらいたいと、開業当時から手づくりしているのが〈cue original TAKETA town map〉というまちの地図です。お店の情報は常にアップデートされていて、30店舗以上の飲食店やお土産屋、名所や観光施設にはそれぞれコメントがびっしりと書き込まれています。

cueを訪れる観光客の旅の目的地は、阿蘇、別府、高千穂といった九州を代表する名所や温泉地が多く、純粋に竹田のまちに観光だけで来る人は少ないそう。

「初めてcueに泊まられる方は竹田のことを知らずに来ることがほとんどです。だからこそ竹田を知ってもらいたくて竹田マップをつくりました」という堀場さん。cueのチェックイン時は必ずこのマップを使って、詳しく説明を行っているそう。

「僕らのおすすめのお店をご案内すると、『ひと晩じゃ足りなかった』といって、また来てくださることも。cueは僕らを含めた4人で運営していますが、スタッフそれぞれに“推しの店”がちゃんとあって、おすすめの仕方も違うんですよ」

ということで、竹田の夜営業のお店をピックアップしていただきました。「あの人に会いにいってほしい」という堀場夫妻のおすすめの店を目指し、今宵、TAKETA mapを片手に夜の竹田のまちを巡っていきましょう。

〈竹田温泉 花水月〉地元の温泉でまずはリフレッシュ

cueを出て3分ほど川沿いを歩くと、辿り着くのは竹田温泉〈花水月(はなみずき)〉。

広々として清潔感がある花水月は、竹田の住民もよく利用する温泉なのだそう。 「地元の人にとっては花水月は日常の温泉です。スーパーのように身近な温泉だけどサウナもあるし泉質もよくてバランスがいいんですよ」と教えてくれたさくらさん。

泉質はナトリウム塩化物泉で、神経痛、冷え性、疲労回復、アトピー性皮膚炎に効果があるとのこと。観光客にとっては非日常が味わえる温泉でもあり、cueの宿泊者は割引で入浴できるので行かなきゃ損!

まずはゆっくり、お湯に浸かって体を温めて。

店舗情報

店舗名:竹田温泉 花水月
住所:大分県竹田市会々2250-1
営業時間:11:00〜21:00
TEL:0974-64-1126

花水月を後にしたら、竹田橋を渡ってcueが面する古町通りをまっすぐ南東へと進んでいきます。城下町らしく碁盤の目のようになった通りは、日が暮れてとっても静か。

目指すは、TAKETA mapの最も奥に書かれている上町通りの一軒目です。

〈羅夢歩〉蔵で乾杯! 魅惑のカクテルや生ビール

たどり着いた先に、暗闇のなかライトアップされた大きな蔵が現れました。

扉の向こうからは先客の賑やかな声が聞こえてきます。ちょっと緊張しつつ入店すると、店内は明るく、金色に輝くビールサーバーが目に飛び込んできました。

ここは、世界のビールやお酒が飲める〈クラシック・ビア ホール 角仲島屋 羅夢歩〉、通称・ランプ。大正2年建造の蔵を再生したビアホールということで、レトロな雰囲気たっぷりの空間です。

「ビアホールと聞くと敷居が高いかなって思われるかもしれませんが、全然そんなことありません。酒場なんだけど、キッズフレンドリーなお店。子どもが食べやすいピザや洋食のフードメニューもあって息子も大好きです。お酒を飲めない私でもノンアルコールの種類が多くて楽しめます」と、お酒が苦手なさくらさんも絶賛。家族でよく通っているのだそう。

とはいえせっかくなので、マスターの小池広さんにおすすめのビールを聞いてみました。

「コロナ禍でだいぶ減ってしまったけど……」というラインナップのなかから、現在おすすめの〈隅田川ブルーイング ペールエール〉をいただくことに。

真剣な眼差しでビアサーバーからペールエールを注いだ後、ばっちりポーズを決めてくれたマスター。手渡された1パイントグラスに琥珀色が輝きます。華やかな香りと豊潤でフルーティーな味わいのペールエールに「くう〜」と唸る、至福の瞬間です。

小粋で遊び心のあるマスターの小池さん。

国内外のビールだけでなく、「受難の熟女」や「アイマイな貴婦人」などちょっと変わったネーミングのお酒はマスターがお客さんに喜んでもらおうと考えたカクテルなのだとか。

小池さんの曾祖父がこの蔵でランプと草履を販売していたことから名付けられた羅夢歩は、アンティークなオブジェに囲まれたノスタルジックな空間です。

気さくな人柄のマスターとおしゃべりしながら、おいしいお酒と豊富な食事メニューを楽しみましょう。

店舗情報

店舗名:クラシック・ビア ホール 角仲島屋 羅夢歩
住所:大分県竹田市大字竹田町80
TEL:0974-64-1126
Web: https://www.kado-naka.com/

〈jolie & はた〉家族で楽しめるスナック⁉︎

2軒目は、田町通りに戻って〈スナック jolie & はた〉へ。

「スナックに行ったことがない人でも十分楽しめるはたさんの懐の広さと明るさが魅力」という堀場夫妻。

ママであるはたきみよさんの持ち味は、幅広い層のお客さまを楽しませてくれる明るい接客。「はたさんのキャラクターをわかっているから、cueのゲストを安心して送り出せる」というのもうなづけます。

はたさんの出身は大阪。堀場夫妻と同じ移住組で、堀場さんよりも1年ほど早く竹田に移り住み竹田のまちの人たちと交流を深めてきました。

「スナック jolie & はた」という名前は、50年間化粧品店を営んでいた〈ジョリー紅屋〉という店舗をはたさんが引き継いだことから、「過去のジョリーと現代のはたが、まちの新たな未来をつないでいこう」と決意した思いが込められているといいます。

「竹田の魅力をひと言でいうと、“人”です。道を歩けば声をかけ合うし、移住者やUターンの人にもやさしい。竹田の人たちがいたから私はここで続けてこられました」と話すはたさん。困ったら当たり前のように助けてくれる人がいる、都心にはなかったそんな竹田の関係性が魅力なのだそう。

スナックでは珍しく、店内は全席終日禁煙。

老若男女、家族連れでも来やすいオープンなスナックのjolie & はた。 店内には、竹田に受け継がれる伝統工芸品「姫だるま」が飾られていました。江戸時代から続く姫だるまは、竹田のまちに腰を下ろしたはたさんの姿とどこかリンクしているよう。竹田のまちを愛するはたさんは、今夜もここでまちと人との縁をつないでいます。

店舗情報

店舗名:スナック jolie & はた
住所:大分県竹田市大字竹田町240
営業時間:18:00〜24:00
定休日:不定休

〈常連〉旅人も住民も、最後はここへ行き着く

おでん各種150円〜500円。

最後に案内するのは、竹田の終着地と呼ばれる〈常連〉です。

堀場夫妻は、「常連をひと言でいうと、“家”!」というほど、アットホームなお店なのだとか。というのも店主の高嶋聖香さんは、3歳頃から竹田で育った生粋の竹田っこ。面倒見がよく祭り好き、地域のよき姉貴分として慕われているのです。

そんな常連で、寒い冬にいただきたいのは熱々のおでん。聖香さんが入ってきたお客さんの顔をみて「なん食べる?」と温かい料理を勧めてくれるはずです。

竹田名産のかぼすのサワーに合わせて、大根、こんにゃく、玉子、牛すじ、餅巾着など定番のおでんの具を盛り合わせてもらいました。

やさしい出汁が胃袋に染み渡る……!

「肉うどん」800円。

シメには、やわらか麺の「肉うどん」はいかがでしょう。

高嶋さんの父親の故郷は福岡県の久留米ということで、博多風のやわらかいうどんに甘めのスープがベースになっています。竹田の名物のしいたけやしっかり甘く煮た牛肉をたっぷり乗せて。「砂糖が少ないと味が決まらんのよね」というくらいなので糖分は控えめではないので、ご了承を。

常連は以前、聖香さんのご両親ら3人が寿司屋として営んでいたそう。寿司屋の名残りのあるカウンターの奥でシャキシャキと動き回る聖香さん。今はひとりで切り盛りしています。お店で大事にしていることはと聞くと、「口の悪さとやさしさ」なのだとか。

初対面でもお客さんが気を使わないでいられる聖香さんの接客と、ほっと温まる食事で一日を終えてみてはいかがでしょう。

店舗情報

店舗名:酒 肴 御食事処 常連
住所:大分県竹田市大字竹田町519-1
営業時間:17:00〜0:00
TEL:0974-63-1077

cueを拠点に、竹田のまちへ繰り出して

「僕たちは、訪れた人と竹田のまちとの最初の接点。映画監督が『キューを出す』というように『きっかけ』という意味のcueなので、これからも竹田の入り口として役割を担おうと思っています」

「cueから来ました」という魔法の言葉で、安心して竹田のお店を歩いて回れるなんて素敵ですね。旅人に、やさしく「いってらっしゃい」と背中を押してくれるcueの存在が、竹田のまちをより一層活気づけているといっても大げさではありません。

竹田の城下町に溢れる歴史情緒とあたたかい人情。
ここを訪れた人は、きっとまた戻って来たくなるはずです。

店舗情報

店舗名:たけた駅前ホステルcue
住所:大分県竹田市竹田町560-1
TEL:070-8950-3891
アクセス:JR豊後竹田駅から徒歩約3分
宿泊料金:ドミトリー/4000円~ 個室/6000円~
客室数:個室4室、ドミトリー10床
Web:https://solairodays.com/

※価格はすべて税込みです。

Credit text & photo COLOCAL(マガジンハウス)
文・林真世
写真・嶋井紀博

MIDNIGHTOITA